「髪が細くて柔らかいから、ワックスをつけてもすぐにへたってしまう」「汗をかくと前髪が額に張り付いて、薄く見える」。生まれつきの軟毛(なんもう)に、そんな悩みを抱える男性は多いでしょう。特に、男性の場合はAGA(男性型脱毛症)への不安も相まって、より深刻に捉えがちです。しかし、軟毛という髪質は、硬い髪にはない柔らかさや、スタイリングのしやすさというメリットも持っています。その特性を理解し、適切なスタイリング術と髪型を選べば、コンプレックスを自信に変えることができます。「隠す」のではなく、「活かす」という発想に切り替えてみましょう。スタイリングの基本は、ドライヤーでの「ベース作り」です。髪が濡れた状態から、ボリュームを出したい部分の根元を指で立ち上げながら、ドライヤーの風を下から当てます。ある程度乾いたら、今度は上から風を当てて全体の形を整え、最後に冷風でキープします。このひと手間で、スタイリングの持ちが格段に変わります。スタイリング剤選びも重要です。オイルやグロス系の重いワックスは、軟毛をぺたんとさせてしまう原因になるため避けましょう。おすすめは、ドライな質感で軽く仕上がる「マットワックス」や「クレイワックス」、あるいは「ヘアパウダー」です。少量を指先に取り、髪の根元から毛先に向かって、揉み込むようにつけていきます。仕上げに、ハードスプレーを少し離れた位置から軽く吹きかけると、ふんわりとしたボリュームを一日中キープできます。そして、最も印象を左右するのが「髪型」です。軟毛を活かすおすすめのスタイルは、サイドとバックを短く刈り上げ、トップに長さを残す「ツーブロック」や「ソフトモヒカン」です。視線が自然とボリュームのあるトップに集まるため、全体の薄い印象が和らぎます。また、前髪を潔く上げる「アップバング」も、爽やかで清潔感があり、軟毛の悩みをカバーするのに効果的です。大切なのは、長めの髪で無理に薄い部分を隠そうとしないこと。短くすることで、髪の重みがなくなり、根元が立ち上がりやすくなるというメリットもあります。信頼できる美容師さんに髪質の悩みを相談し、自分の骨格に合った最適なスタイルを一緒に見つけてもらうのが、自信への一番の近道です。