頭頂部の薄毛、特にAGA(男性型脱毛症)によるものは、かつては諦めるしかないと考えられていた時代もありましたが、近年、医学の進歩により様々な治療法が登場し、改善の可能性が広がっています。現在、科学的根拠に基づいて推奨されている治療法の中心となるのが薬物療法です。内服薬としては、「フィナステリド」と「デュタステリド」が代表的です。これらは、AGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制する働きがあり、抜け毛を減らし、毛髪の成長サイクルを正常化させる効果が期待できます。特に頭頂部の薄毛に対して効果を発揮しやすいとされています。外用薬としては、「ミノキシジル」が広く用いられています。頭皮に直接塗布することで、毛根周辺の血行を促進し、毛母細胞を活性化させる作用があります。内服薬と併用することで、より高い効果が期待できる場合もあります。これらの薬物療法は、医師の診断と処方が必要であり、効果の現れ方や副作用には個人差があるため、専門医との相談が不可欠です。より積極的な治療法として「自毛植毛」があります。これは、AGAの影響を受けにくい後頭部などの自身の毛髪を、毛根ごと頭頂部などの薄毛部分に移植する外科手術です。薬物療法で効果が不十分な場合や、より確実な見た目の改善を望む場合に選択肢となります。技術の進歩により、より自然な仕上がりが可能になっていますが、費用が高額になることや、手術であることへの理解が必要です。さらに最近では、「低出力レーザー治療」や、自身の血液から抽出した成長因子を利用する「再生医療」なども注目されています。これらの治療法はまだ新しいものもありますが、今後の発展が期待されます。どの治療法が最適かは、薄毛の進行度や個人の状態、希望によって異なります。まずは専門医に相談し、自分に合った治療法を見つけることが重要です。
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