薄毛治療を始めたり、新しい育毛剤を使い始めたりした際に、かえって抜け毛が増えるという現象を経験することがあります。これは「初期脱毛」と呼ばれ、特にミノキシジルやAGA治療薬(フィナステリド、デュタステリドなど)の使用開始後に見られることがあります。なぜ、髪を増やしたいのに抜け毛が増えるのでしょうか。そのメカニズムは、乱れたヘアサイクル(毛周期)が正常化する過程で起こる、いわば「髪の入れ替え」のようなものだと考えられています。私たちの髪の毛には、成長期(髪が伸びる期間)、退行期(成長が止まる期間)、休止期(髪が抜け落ちる準備期間)というサイクルがあります。薄毛が進行している状態では、このヘアサイクルが乱れ、成長期が短くなり、休止期にとどまる毛髪の割合が増えています。ミノキシジルなどの治療薬は、この乱れたヘアサイクルに働きかけ、休止期にある毛包を刺激して、新たな成長期へと移行させようとします。その結果、新しい健康な髪の毛が下から生えてくる準備を始めると、その上にあった古い、あるいは弱った髪の毛(休止期の毛)が押し出される形で抜け落ちるのです。これが初期脱毛の正体と考えられています。つまり、初期脱毛は、治療が効き始め、新しい髪が生えるためのスペースを作るための、一時的な生理現象と捉えることができます。しかし、全ての治療薬で必ず起こるわけではなく、その有無や程度には個人差が大きいことも特徴です。このメカニズムを理解することで、一時的な抜け毛増加に対する不安を少し和らげることができるかもしれません。
- 失敗しない薄毛スプレー選びと使い方
- 大豆イソフラボンは女性の薄毛改善の味方?