「痩せたら髪が生えるかもしれない」という期待から、急激なダイエットや極端な食事制限に走ってしまう人がいるかもしれません。しかし、それは大きな間違いです。不健康な方法での無理な減量は、髪にとってプラスになるどころか、深刻なダメージを与え、かえって抜け毛を増やしてしまう危険性があるのです。髪の毛は、私たちが日々摂取する栄養素から作られています。特に、髪の主成分であるケラチンというタンパク質を合成するためには、十分な量のタンパク質が必要です。極端な食事制限、例えば特定の食品しか食べない単品ダイエットや、摂取カロリーを極端に減らすダイエットを行うと、このタンパク質が不足しがちになります。体は生命維持に必要な臓器へ優先的に栄養を送るため、髪の毛への栄養供給は後回しにされてしまいます。その結果、髪の毛はやせ細り、成長が止まり、やがて抜け落ちてしまうのです。これは「休止期脱毛」と呼ばれる症状の一つで、ダイエット開始から数ヶ月後に現れることがあります。また、タンパク質だけでなく、鉄分、亜鉛、ビタミン類などのミネラルやビタミンも、健やかな髪を維持するためには不可欠です。これらの栄養素が不足することも、髪のパサつきや切れ毛、抜け毛の原因となります。さらに、急激な体重減少は、体にとって大きなストレスとなります。ストレスは自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させて頭皮の血行を悪化させる可能性があります。これもまた、髪の成長を妨げる要因となり得ます。もしダイエットをするのであれば、必ず栄養バランスの取れた食事を心がけ、適度な運動を取り入れ、時間をかけてゆっくりと行うことが鉄則です。健康を損なうような無理なダイエットは、美しい髪も、そして何より大切な健康そのものも失いかねないということを、肝に銘じておく必要があります。