生まれつきの細く少ない髪は、私の人生において常にコンプレックスの種でした。学生時代はそれで悩むことも多く、どうにかして普通の人と同じような髪になりたいと願っていました。大人になってからも、美容院に行くのは少し憂鬱でしたし、新しい出会いの場では、やはり髪のことが気になってしまう自分がいました。AGA治療薬の存在を知った時は、もしかしたら自分にも効果があるかもしれないと淡い期待を抱きましたが、専門医に相談した結果、私の場合は先天的な要因が強く、治療薬の効果は期待できないとはっきり告げられました。正直、ショックでした。もうこの髪と一生付き合っていくしかないのだと、改めて現実を突きつけられた気がしました。しばらくは落ち込みましたが、いつまでもくよくよしていても仕方がない、と考え直しました。変えられないものを受け入れて、その上でどうすれば自分が心地よく、自分らしくいられるか。そう考えるようになったのです。まず、無理に髪を多く見せようとするのをやめました。清潔感を保つことを第一に考え、自分の髪質に合った手入れのしやすいショートカットにしました。すると、不思議なことに、以前よりも気持ちが楽になったのです。また、髪以外の部分で自分の魅力を磨こうと意識するようになりました。ファッションを楽しんだり、内面を豊かにするために読書をしたり、新しいことに挑戦したり。そうするうちに、髪のコンプレックスは、私の個性の一部であり、それも含めて私なのだと、少しずつ受け入れられるようになってきました。もちろん、今でもふと他の人の豊かな髪を羨ましく思うことはあります。でも、以前のようにそれで自己嫌悪に陥ることはなくなりました。薄い髪と共に生きていく。それは、諦めではなく、自分自身を肯定するための私の選択なのです。
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