長年、多くのお客様の髪に触れさせていただく中で、六十代を迎えた方々から髪に関するお悩みを伺う機会は少なくありません。ボリュームが出にくくなった、髪が細くなった、パサつきやうねりが気になる、地肌が透けて見える気がする…これらは共通して聞かれるお悩みです。美容師の立場から、そんな六十代の髪悩みに寄り添うシャンプー選びと、ご自宅でのケアのコツについてお話しさせていただきます。まずシャンプー選びですが、洗浄力がマイルドなアミノ酸系のシャンプーが基本です。年齢と共に皮脂の分泌量は減少し、頭皮は乾燥しやすくなります。強い洗浄力は必要な皮脂まで奪い、乾燥やフケ、かゆみの原因になります。潤いを守りながら優しく洗い上げるシャンプーを選びましょう。そして、保湿成分や補修成分にも注目してください。ヒアルロン酸やセラミド、コラーゲンなどで頭皮を保湿し、ケラチンやシルクなどで髪のダメージを補修することで、パサつきを抑え、ハリやコシのある扱いやすい髪へと導きます。ボリュームアップを謳うシャンプーも多くありますが、シリコンなどのコーティング剤で一時的にボリューム感を出すタイプよりも、ヘマチンなどの成分で髪の根元から立ち上がりをサポートしたり、頭皮環境を整えたりするタイプを選ぶのがおすすめです。ご自宅でのケアでは、正しいシャンプー方法を実践することが何より大切です。特に「すすぎ」は念入りに行ってください。シャンプー剤のすすぎ残しは、頭皮トラブルの大きな原因となります。また、シャンプー後のドライヤーも重要です。根本から乾かすことを意識し、温風と冷風を使い分けながら、オーバードライにならないように注意しましょう。仕上げに、頭皮用のエッセンスなどで保湿と栄養補給をしてあげると、さらに効果的です。髪の状態は日々変化します。ご自身の髪と頭皮にじっくり向き合い、最適なケアを見つけるお手伝いができれば幸いです。ぜひ、お気軽にサロンでご相談ください。