抜けた髪の毛を観察する際に、特に注目したいのが「毛根」の形状です。毛根の形を見ることで、その髪がどのような状態で抜け落ちたのか、そしてヘアサイクルが正常に機能しているかどうかのヒントを得ることができます。抜けた髪の毛を一本手に取り、根元の方を見てみましょう。健康な状態でヘアサイクルを終えて自然に抜け落ちた髪の毛根は、一般的にマッチ棒の先のように丸く、少し膨らんだ形をしています。そして、毛根の周りに白い塊(毛根鞘)が付着していることが多いです。この毛根鞘は、髪の毛を包んでいた毛包の組織の一部であり、古い角質や皮脂などが混じったものです。これが付着しているのは、髪の毛が成長期を終え、休止期を経て自然なサイクルで抜けたというサインであり、生理的な抜け毛の特徴です。このような毛根の形であれば、たとえ抜け毛の本数が一日五十本から百本程度あったとしても、過度に心配する必要はありません。一方、注意が必要なのは、健康な状態とは異なる毛根の形が見られる場合です。例えば、毛根が細く尖っている、あるいは萎縮しているように見える場合です。これは、髪の成長期が途中で短くなってしまい、十分に成長しないまま抜けてしまった可能性を示唆しています。栄養不足、ホルモンバランスの乱れ、血行不良など、様々な原因でヘアサイクルが乱れている場合にこのような毛根が見られることがあります。また、毛根がついていないように見える場合も注意が必要です。これは、毛根から抜け落ちたのではなく、髪の毛が途中で切れてしまっている可能性が高いです。強い摩擦、パーマやカラーリングによるダメージ、あるいは自分で髪を引っ張ってしまう癖などが原因として考えられます。ただし、見た目には毛根がついていないように見えても、非常に小さくなっているだけの可能性もあります。さらに、毛根の形が歪んでいたり、黒っぽい付着物が多かったりする場合は、毛穴に炎症が起こっているなど、頭皮環境に問題がある可能性も考えられます。毛根の形状チェックは、あくまでセルフチェックの一つであり、これだけで薄毛の原因や深刻度を正確に診断することはできません。
抜けた髪の毛根形状で抜け毛チェック