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危険な抜け毛サインを見分ける
普段の抜け毛は自然なヘアサイクルの一部ですが、中には注意が必要な「危険な抜け毛」のサインもあります。これらのサインを見分けることで、隠れた病気や進行性の脱毛症など、早期に専門家の診断が必要な状態に気づくことができます。危険な抜け毛のサインとしては、まず異常な抜け毛の量が挙げられます。一日に百本以上の抜け毛が続く場合や、シャンプーやブラッシング時にごっそりと塊になって抜ける、あるいは軽く髪を引っ張っただけで簡単に抜けてしまうような場合は、正常な範囲を超えている可能性が高いです。次に、特定のパターンでの薄毛の進行です。男性の場合、生え際がM字型に後退したり、頭頂部がO字型に薄くなったりするのは、男性型脱毛症(AGA)の典型的なサインです。女性の場合、分け目や頭頂部を中心に全体的に髪が細くなり、地肌が透けて見える範囲が広がるのは、女性型脱毛症(FAGA)やびまん性脱毛症のサインとしてよく見られます。これらの特定のパターンでの薄毛は、進行性であることが多いため、早期の専門的な診断と治療が重要です。また、円形脱毛症のように、境界がはっきりした丸い脱毛斑が突然現れる場合も危険なサインです。大きさはコイン大からそれ以上のものまで様々で、頭部だけでなく眉毛や体毛にできることもあります。円形脱毛症は自己免疫疾患などが原因と考えられており、進行する可能性もあるため、皮膚科医の診断が必要です。さらに、頭皮に痛み、強いかゆみ、赤み、ただれ、大量のフケといった炎症性の症状を伴う抜け毛も危険なサインです。これは脂漏性皮膚炎や頭部白癬(しらくも)など、頭皮の病気が原因で薄毛になっている可能性が高く、原因疾患の治療を優先する必要があります。これらの皮膚疾患は、放置すると薄毛が進行したり、痕が残ったりする可能性があるため、速やかに皮膚科を受診しましょう。最後に、薄毛以外に全身の倦怠感、発熱、体重減少、関節痛などの症状を伴う抜け毛です。これは、全身性の病気(甲状腺疾患、膠原病、鉄欠乏性貧血など)が原因で薄毛になっている可能性があり、内科的な検査や治療が必要となります。これらの危険なサインが見られた場合は、自己判断で市販の育毛剤などを試すよりも、まず皮膚科医などの専門家を受診し、正確な診断を受けることが最も重要です。